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ピロリと生きる 〜その壱〜

なんか変わった題名ですね、そうです、これは昨今話題のヘリコバクターピロリのことです。ワイドショーや新聞でも数多く取り上げられ、意外な(失礼!)おばあちゃんもピロリ菌の名前を知ってます。1984年に発見されたこの細菌は驚くべきものでした。当初は胃十二指腸潰瘍の原因として報告されましたが、研究が進み胃癌の99%以上に関与することが解り、ウォーレン、マーシャル両博士は2005年にノーベル生理医学賞を受賞しています。この発見には後日談があります。病理学者のウォーレン博士の指導で強い胃炎、胃潰瘍に特徴的な細菌がいるようだと胃粘膜から細菌を培養しようとしていた研修医のマーシャル先生。いろいろな培地で何度試してもその細菌を培地上で増やすことはできませんでした。「これは無理じゃないか」そう思った頃、復活祭イースターのお休みになりました。復活祭は毎年3月下旬から4月下旬のいずれかの日曜です。そう今年もちょうど終わったばかりです。あきらめかけていたマーシャル先生は培養器にいれたまま5日間の休暇をとり遊びに行ってしまったそうです。それは若い研修医ですもの、、、、でもお休みから帰ってみたらびっくり!ピロリ菌が生えているではありませんか。一般細菌の培養は2日程度でできるのですが、ピロリ菌は培養に5日以上かかる特殊なものだったんですね。大発見にはよくあるエピソードですが、私は大学の医局でヘリコ(以前はピロリではなく我々はそう呼んでました)を研究していた頃には「研究ばかりじゃなく遊びも必要だ!」なんてこの話は自分に納得させるものでした。そのマーシャル博士と20年程前一度握手したことがあります。野球グローブのような大きな手でした。ヘリコの末端の一研究者であった私は思わず嬉しくてたどたどしい英語で「You are my star!」と言ってしまいました。アー恥ずかしい、まるで映画スターに会ったかのようでした。このピロリ菌は1−2歳でほとんど親から感染し数十年以上無症のことも多く、50代前後から二百数十人に一人が毎年胃がんを発症します。つまり日本人の私以上の世代は半数以上が生まれてずっとピロリ菌と人生を過ごしているのです。なんとヒトはピロリと生きてきたのです。あれ、もう字数がいっぱいです、この続きは次の機会にお話ししましょう。

朝日スローサリィ5月号日々思フコトに掲載中です。

 

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